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堀井雄二・宮本茂・坂口博信 ゲームの近未来 | '98年5月22日号






■ゲームの近未来

いよいよ21世紀はすぐそこ。ゲームとそれを取り巻く環境は、21世紀にはどうなるのか? 現実として十分にあり得る近未来像を探ってみた。

本誌編集長が直撃!! クリエーターに聞く

鈴木裕・岡本吉起

浜村 さっそくですが、今後の家庭用ゲーム機はどんな方向に進むんでしょう?
鈴木 んー、ハードの未来を予測するのは難しいよね。クリエーターが作りたいゲームによって変化しますから。
岡本 確かにハードの予測は難しいですね。
浜村 そんなもんですか。
岡本 ボクはゲーム機は家電のひとつになると思います。テレビみたいにどこの家庭にも1台はある、みたいな。昔、3種の神器ってあったじゃないですか? で、それがあることがステータスの時期があった。でも、いまはそんなのあるのが当たり前ですよね。
浜村 たしかにいまはどこの家庭に行ってもありますよね。
岡本 で、これからはゲーム機がそれになると思うんですよ。あって当たり前。持ってないと「なんでないの?」っていう。そういう方向に向かっているんじゃないかな。
鈴木 たしかにそうだね。うん。

岡本 いま、テレビって時間の取り合い状態ですよね? まず、いわゆる地上波があって、衛星放送もあって、さらにビデオもあって。で、ゲームもそのなかのひとつにすぎないじゃないですか。だけどこんな状態いつまでも続きませんよ。お父さんの見たい野球と子どもの番組が重なったりして。それが続いて。で、そのうちテレビを増やそうって話になるんです。そこで増えた2台目は何に使うと思います?
浜村 そりゃゲームでしょ。
岡本 そう。ゲームですよ、ゲーム。つまりゲームによるテレビの占有時間が増える!! これはすごい近未来ですよ。いや、もうすでに始まっているのかもしれない。

鈴木 でも、けっきょく家庭用ゲーム機ってテレビのなかに入っちゃうんじゃないかな。で、ひとつのリモコン、ひとつのモニターで全部操作できるようになるの。
岡本 あ、そっちのほうに行くか。
鈴木 ええ。さらに言うと、CPUの処理能力が上がってくるから、ハードどうしの差がそれほどなくなってしまう。そうなると純粋にソフトの勝負になるんですよ。いまみたいにゲームを箱に入れて売る必要もなくなっちゃう。そこでいよいよ通信に行くと思うんだけど。ゲームは基本的に配信されるものの時代になるわけ。もちろん、配信の方法はほかにもあるし、なにもインターネットだけがネットワークじゃあない。きっといろいろな配信の方法が出てくるよ。

浜村 今度は携帯用ゲーム機についてお聞きしたいんですけど。この分野はこれからも伸びていくでしょうか?
岡本 う~ん。そうなるんじゃない。やっぱRPGのレベル上げとか、毎日モニターの前でやってるのが不自然な作業を、携帯用のゲーム機、というより液晶かなにかを使ったそういうもので、やるようになると思う。たとえば主人公のまわりに地形だけを転送して、昼休みにちっちっちと。
鈴木 レベルアップ!(笑)
浜村 レベル上げ!(笑)
岡本 そう。さらに言うと家庭用のゲーム機本体と、携帯ゲーム機のつながりがほしい。
浜村 ほっほう。やはしそっち行きますか。
岡本 そうそう。RPGを例に挙げると、第1章とか第2章とか、短い部分をまとめて携帯機にダウンロードする。で、会社や学校である程度進めて、家に持って帰って本体に戻してやるわけ。
浜村 それが実現したらいままでのRPG観がガラッと変わりますよ。






堀井雄二

堀井 実現したらって希望ですが、ハードの統一ですね。現在のようにいろいろなゲーム機が存在するのではなく、1機種になったらなと思う。ビデオ端子などが少ないテレビでは、遊ぶハードを帰るたびに接続し直す必要があるじゃないですか。もしくはセレクターが必要になったりするし。
浜村 確かにそうですね。ハードが統一されれば、そんな面倒なこともなくなりますね。
堀井 ネットワークに関しては、これからは使うときに毎回接続する必要がなくなるんだと思う。家庭に1台コンピューターがあって、いつでもスイッチオンの状態になっていて新しい情報をどんどん受信するんです。わざわざコンピューターの電源を入れなくても、ついているので気軽にすぐ遊べると思うんですよ。僕なんかはパソコンの前に座るっていうのが苦痛で、遊ぶまえにかなりの決心が必要になってくるんですけど。ゲーム機になって、寝転がりながらコントローラーで遊べるのを覚えると、パソコンでゲームをするのが苦痛に感じるんですよね。
浜村 人間はどうしてもラクなほうに慣れてしまいますからね。

堀井 カセットの入れ替えも面倒ですよね。CDの6連奏じゃないけど、買ってきたソフトを入れておくと、遊ぼうと思ったときメニューが出てきて選択できるといいでしょ。未来のゲーム機は、いままでと違ってライフスタイルに溶け込んでテレビとかと同じ感覚になってくるんじゃないかな。昔はチャンネルをガチャガチャしてたのが、いまはリモコンでピッ! あれくらいの感覚でゲームを遊べるようになってくるって感じ。

堀井 ゲームのメディアもCD-ROMじゃなくなってるかもしれないですね。テレビみたいに電波で送ってくるとか。ゲームチャンネルみたいなのがあって、通信カラオケじゃないけど、ボタンをポンと押すとデータが飛んできてゲームができちゃう(笑)。
浜村 するとゲームの質じたいが変わってくるんでしょうね。
堀井 大作があってもいいし、それこそ手軽なものがあってもいい。そっちのほうがかえって、アクセスは多いかもしれないですね。

浜村 携帯用ゲーム機に代表されるように、ゲーム機がどこにでも持っていけるようになるって傾向があるじゃないですか。家庭用ゲーム機とのつながりっていうのも、これから先、進んでいくと思いますか。
堀井 もちろん進んでいくと思うんですが、家でも外でもゲームで遊べるようになると、今度は逆に人はどれだけゲームに時間を割くかっていう疑問が出てくる。ほかにも忙しいですもんね。デートしたりだとか。それにいつでも遊べるってことで、ほかの娯楽との勝負が始まってしまいましたからね。
浜村 日常時間の取り合いになってきているってことですね。




坂口博信

浜村 早速なんですが、ゲームのハードは、どんな風に進化していくと思ってますか?
坂口 いきなり堅い質問ですねぇ(笑)。僕個人の考えを話させてもらうと、映像で出てくるキャラクターのように表情がついて、きっちり人の感情までCGで表現が可能なハードが出てくるんじゃないかな。リアルタイムに表情を表示していかなきゃならないとなると、それを動かせる性能のハードを作るってけっこうたいへんでしょうけど。

坂口 僕にとっていちばんの娯楽は、映画を見て泣いたり笑ったりすることなんです。映画なんかを見てるととくにそうなんだけど、役者さんの表情1カットで、お芝居がピシッと決まるじゃないですか。それをリアルタイムに描画できるハードは欲しいですね。そういったハードができれば、ほかの才能を持った人が入ってきて別の形に発展するってこともあり得るでしょ。
浜村 なるほど。ハリウッドとかの才能を持った人をゲームの世界に引き込んだように、あらゆるジャンルの優秀な力をもっと取り入れていきたいということですね。

坂口 もっともっと表現が深いものになって、生活とか、大げさに言うと人生だとか、そういったものに踏み込んだ話っていうのがあるじゃないですか。小説や映画にしても。そういうのって、やはり人生経験を積んだ人じゃないと書けないし演出できないと思うんです。ハードが進化して、違う畑の人が入ってくる。そして20代くらいの人が経験を積んでいく。それらがうまく融合して何か新しいものを生み出せないかと思ってますね。

坂口 これはたとえなんですけど、映画なんかだと、多人数でそれこそ時間をかけて作り上げるじゃないですか。それに対して音楽は、ひらめきってものがあればですけど、作り上げるのは早い。このふたつのジャンルって、エンターテイメントということでくくれば同じジャンルですよね。で、どちらもうまく共存しているんですよ。ゲーム機でも同じことが言えるんじゃないかと思うんです。
浜村 と言いますと?
坂口 通信みたいなものでゲームができるのなら、もっとみんなが楽しめる単純で簡単なものが出てきてもいい。もちろん1,2年かけて作る大作があってもいい。だけど、その両方がないと大作主義ばかりでは衰退していくんではないかと思うんですよ。僕が言うのも変ですけど(笑)。




宮本 茂

浜村 近い将来ゲーム業界で、どんな変化があるとお考えですか?
宮本 あまりしゃべると会社の戦略が見えてしまうんですが(笑)、実現するのは非常に難しいんですが、流通がなくなる方向でのネットワークが発達していくと思ってるんですよ。
浜村 流通がなくなるというのは、サテラビューみたいに衛星を使って電波を降らして、ソフトが買えるようになるということですか?
宮本 そうです。ソフトを家にいながら手に入れる。ゲームを降らすということに限らず、電話回線を使うにしても、ISDNなど基盤的伝送路、いわゆるインフラがだいぶそろってきましたよね。通信料金の考え方も自由化され、5,6年まえは夢のような話だったところから、ずいぶん現実的になってきました。ですから現段階では本当に夢ですけど、数年後には実現する可能性があると思うんです。
浜村 確かに現段階では、とても実現するようには思えませんが、実現したらとにかく便利ですね。

宮本 家庭用ゲーム機のマーケットっていうのは、枯れた技術を使うっていうところがあるんですよ。要は安くなった技術を使うということなんですが。そのときの最先端あたりに見えてる技術を使ったっていうゲーム機は出てこないし、出たとしても話題にはなるけど大多数にはならないと思うんです。
浜村 最先端の技術よりも、洗練された完成度の高い技術が大事というわけなんですね。
宮本 そうです。ですから、将来ネットワークの技術が洗練されれば、流通がなくなる方向に進むのではないでしょうか。
浜村 なるほど。では、ハード的にはどうなっていくでしょう。性能が格段によくなり、さまざまな表現が可能になりましたが、これから先もビックリするような進化が起こるとお考えですか?
宮本 この世界はずっと発明によって変わってきてるんですよね。発明によってゲームが進化する。当然、将来は進化するでしょうが、残念ながら新しい発明っていうのはしばらく出てきてないですよね。
浜村 遊び方の発明でいうと、ニンテンドウ64とゲームボーイがつながるといった、グラフィックの進化などとは違うレベルの発想におもしろさを感じたんですが。
宮本 ニンテンドウ64は、ハードの性能をアップさせたうえで多彩に使えるおもちゃとしてのおもしろさという目標があるんです。いまはハードが出てから、おもしろいソフトが出てくる傾向にあるじゃないですか。『ポケモンスタジアム』の登場でハードの可能性が広がり、そこで新しいおもちゃが出てきてくれると思ってるんですよ。
浜村 新しい可能性が生まれる架け橋的役割も果たすというわけですね。

浜村 そのほか、ゲームの未来についてお考えになっていることがあれば教えてください。
宮本 ゲームっていうのは、基本的に先へどんどん進めていく、早く続きがやりたいといった攻略という要素のおかげで流行してきたわけですよね。でもその要素がいつまでおもしろいのか? っていうのが、僕らのここ数年のテーマになってきてるんですよ。
浜村 と、いいますと?
宮本 いままで攻略という骨に対して、豪華な皮をかぶせるなど、いろいろな工夫をしながらゲームを作ってきました。それらのゲームを作った事実として、攻略という要素は全てのゲームにおいてすごく重要だった。それら攻略の要素を否定するのは簡単なんですけど、否定するには、遊び手を増やす力となる発明が必要なんです。そんな新しい発明ができたらな、という壮大な課題なんですよ。
浜村 では、ご自身に発明のヒントみたいなものは、いくつか持っていらっしゃるんですね?
宮本 いや、ないですよ(笑)。あるというイメージを持ってやるしかない。オデコの前にポッカリ浮かんでいる感じ。ないかもしれないけど、あるかもしれないというイメージで仕事をしてるんです。頭のうしろに乗っかっている物だけじゃ新しい物は生まれないんで。

浜村 では最後に、今後のゲームはどうなるかってことですが。
宮本 平凡ですがやはりインターナショナルですよ。国際的に認めてもらえる物を作れる数少ないメディアなんで、日本のクリエーターはそれを大事にしていってほしいです。任天堂にとっても日本のゲーム業界全体にとっても重要なことです。それに唯一海外に輸出できるカルチャーだってみんなが認知してきてくれてますからね。




今年の下半期はたぶんこれが流行る



[※特集後半は、98年下半期にゲーム業界およびそれ以外の分野で流行しそうなものを調べる、という企画。平林久和・渡辺浩弐・占いの福田先生などおなじみのメンツがいろいろ予想させられている]
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