92年1月24日号・前編/宮本茂インタビュー ゼルダの伝説の伝説





[※この号は内容が濃いので2回に分けて紹介します]


■エクスプレス

トイザらスは現代の黒船か?
3歩進んじゃ2歩下がる、てな感じのトイザらスが、さまざまな難関を突破して、'91年12月20日に日本での1号店をオープンした。

'91マルチメディアグランプリ
ビデオゲーム部門
最優秀賞…がんばれゴエモン~雪姫救出絵巻~
企画賞…シムアース
表現技術賞…スターブレード
キャラクターデザイン賞…ジェリーボーイ

『シム』のウィル・ライト邸 火事で燃える!
「ボクは家で仕事しないからね。家に持って帰ったディスクは燃えちゃったけど、ちゃんと会社にバックアップをとっておいたから大丈夫ってワケ」(ウィル)


■クロレビ

(浜村、アルツ、渡辺美紀、TACOX)

ミズバク大冒険
6 6 6 6
業務用の移植。水がドバドバ流れるのがこのゲームのキモだったよーな記憶があるんだけど、エンジン版はあまり水が流れない。水爆弾がフツーの飛び道具になっちゃってる。それさえ納得しちゃえばそこそこ楽しめるのでは。(TACOX)

SDガンダム SD戦国伝2 天下統一編
5 4 4 4
シミュレーションゲームっぽくコマを進めてアクションゲームっぽく戦うのだけど、いずれも中途半端。戦略性は感じられないし、戦闘シーンもアクションゲームとはいえないほどアバウトな感じがする。いずれも入門編レベルと考えるのが妥当なのかな。(TACOX)


■町内会

闇の飲み屋
・行かん!年始の新年会/静岡県 黒田

報告書
・友人Tは小学2年生のころ、「オレは中学生になったら死ぬんだぜ」といっていばっていた。/宮城県 快傑ズバット
・週刊化されてクロスレビューをする人が増えたが、メーカーとしては、自分の会社のソフトが載るときには、森下さんを入れて欲しいと思っている。/福岡県 破壊天使
・『スペランカー2』の主人公は前作の50倍は強い。/東京都 骨のある人


■メイキング

人を楽しませるために、ゲームデザイナーやゲームメーカー、編集者は何をやっているのか?

ゼルダの伝説の伝説 宮本茂インタビュー

――『ゼルダ』の開発に着手されたのはいつごろなんですか?
宮本 『スーパーマリオワールド』と一緒です。任天堂で初めてスーパーファミコンの発表会を開いたとき('89年7月)にも『マリオ』と一緒に発表する予定だったんです。スーパーファミコンと同時に発売する予定もあったんですけどね。
――では、発売がずいぶん延期されてしまったことになりますね。
宮本 今年の3月には発売したいなと思ってたのが、夏休みに延びて、けっきょくスーパーファミコン1周年記念(笑)。

――『ゼルダ』の開発チームは何人くらいだったんですか?
宮本 任天堂の場合、大勢のチームで長時間かけてソフトを作るということはしないんです。最初は数人で1年くらいやって、そのあとで人数を投入して8ヶ月くらいで仕上げる。だから『ゼルダ』も大人数が投入されたのは、'90年の11月くらいなんです。
――では、基本システムを少人数でやって、人手が必要になってから大人数で、というシステムですね。
宮本 というよりは、むちゃな実験を少人数でやっておいて、(完成した形が)読めるようになってから大勢でやるんです。大人数でむちゃな実験をやると、ひまな人がたくさん出てきちゃうから。具体的には、ハードの限界に挑戦するような実験を早めにやってシステムを固めておいて、敵や演出に関することなどをあとから詰め込むんです。

――家に帰れない時期なんかもありましたか?
宮本 『ゼルダ』のときは、会社から「家に帰らないで体を壊したらどうするんですか?」といわれるくらいのことはしてましたね。でも、頭を疲れさせないために1日8時間は寝るようにしてます。
――さすがプロ!
宮本 プログラマーにも睡眠時間はきちんととってもらうようにしました。夜寝ないで仕事がはかどることは絶対にないですから。ただ、睡眠時間は大切なんですが、「そろそろ時間なのでお先に失礼します」なんて言われるのはいやなんですよ。みんなが熱中して仕事してるときに「時間だから」なんて言われると、「なんやこいつ」って思っちゃうんです(笑)。

――『ゼルダ』を作り始めるときに、「こんなゲームにしよう」といった目標はあったんですか?
宮本 『1』が不十分なシステムだったんで……。『1』で足りなかった部分をきちんとやろうという思いはありました。
――あの『1』が不十分とは、ずいぶん厳しいですね。
宮本 もっとやりたいことがあったんですが、ハードの性能上“つもり”が多かったんです。
――具体的には『1』のどんな部分に満足していないんですか?
宮本 ほんとは色を描き変えただけなのに、水がなくなったつもり、とか、実際には小さな木を燃やしてるんだけど、大きな木を燃やしたつもり、とか……。そういうのが多かったんで、スーパーファミコンの『ゼルダ』では、実在感を出したかったんです。

――Aボタンを使ったダッシュが気持ちいいですよね。
宮本 じつはNES版の『MOTHER』も、似た操作でダッシュができるんです。ダッシュのためにボタンが振り分けてあってね。

――8メガに収まりきらなかったアイデアもたくさんあるんじゃないですか?
宮本 たっくさんあります!でもゲームって「こんなことやりたい、あんなこともやりたい」という欲望だけじゃ作れないものなんです。その演出をゲームの中のトリックと結びつけたり、他の演出との汎用性を持たせたりしてプログラム上の一貫性を保たないといけないんです。でも、やりたかったことはたくさんあるなぁ。
――どんなアイデアがあったんですか?
宮本 草原でカンテラを使うと、とめどもなく火が燃え広がっていくとかね。あらかじめ主人公のまわりの草だけ刈っておいて……。
――それは楽しそうですね。ほかにもありますか?
宮本 池のところからシャベルを使って溝を掘っていくんです。そして池の防波堤を爆破すると溝に沿って水が流れていく、とかね。これは実際やりかけてたんですけど……。時間がもう半年あればできたかもしれないですね。
――ほかには?
宮本 女の子が××で××するところがあるんですが、ほんとは××を××して××だったんです。
――えーっ、それはすごすぎるっ!……アイデアって無限にあるもんなんですね。
宮本 無限だと思います。現実の世界って、アイデアであふれてるわけでしょう。それをどういうふうに編集してプログラムにつめこむか、というのがゲームデザイナーの仕事だと思うんです。ゲームを作るのに大切なのは、想像力とか創作といったことよりも、編集する力だと思ってるんですよ。
――現実の世界のどんな部分をどのように切り取ってきて、カートリッジに詰め込むか、ということなんですね。
宮本 全部ディフォルメ(誇張)と編集ですね。

――ここ数年の宮本さんは続編を中心にプロデュースされてますよね。ここらでまったく新しいゲームを発表されるご予定はないんですか?
宮本 そう言われてみると、『新・鬼ヶ島』以降は新しいものをあまり出してませんね。でも、『パイロットウィングス』のような路線を拡張したものとか……、いろいろと。
――『パイロットウィングス』の路線って……?
宮本 ぼくは、プレーしてるときだけがゲームじゃないと思うんです。外にいて、「家に帰ったら遊ぼう」と思っているときも含めてゲームなんじゃないかと。そういう意味で、「今日も5分遊ぼう」と思ってもらえるようなものが作れたらいいな、と。ただ、まだキャラが立ってこないんですけどね。
――するとしばらくの間は予定なしですか?
宮本 ま、いろいろ(笑)。コンピューターゲームというのは、「これをゲームと呼ぶのか」というものまで含めると、アイデアは無限にありますからね。今ゲームと呼んでるものは、ゲームのなかのひとつのジャンルに過ぎないんじゃないかな。パソコンのゲームもいろいろと新しいことを試みているようですしね。ネタは永遠になくなりませんよ。

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