スポンサーサイト


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

1990年のゲームマニアたち③ | '90年4月13日号・後編






[※前回の続きです]






テレビ東京の『ファミっ子大作戦』で名人としても活躍している中本博通さん(28)は、ゲームメーカーデータイースト(株)の企画室係長でもある。そして業界でも屈指のコレクターだ。もともとハードウェアの設計などを仕事としていたために、そのコレクションもPCB、ゲームソフト全般から、市販の家庭用ゲーム機そのものにまで及ぶ。



PCBの中には、いわゆる脱衣麻雀ものも多いという。


「ゲームウォッチなんかは50種類以上ありますよ。その他ファミコン以前の、泡沫的に消えていったゲームマシンが20種類くらい。セガのシリーズはSC-1000から全部持っています」



ゲームウォッチの数々。下の筐体には『スペースインベーダー』が入っていた。


なかでも、あまりメジャーでないマシンに惹かれるという。

「一時期のエポック社の精力的な商品展開などには興味がありましたね。システム10とかスーパーカセットビジョンとかね。スーパーカセットビジョンなんかは、男の子用と女の子用の2種類のカラーリングがあったんですよ。あと家庭用ゲームマシンとして初めて16ビットのCPUを使ったトミーのぴゅう太とかね。こういう、ひょっとしたらすごいポテンシャルを持っていたかもしれないのに、時代の流れの中に消えてしまった不憫なマシンに愛情を感じるんですよね」

中途半端が嫌いで、興味を持った対象はすべて極めなければ気がすまない性分の中本さんは、ゲームの世界に限らず非常に多趣味だ。バイク、ゴルフ、スキューバダイビングとアウトドアのスポーツも非常に精力的にこなす。

「ゲームもあくまで趣味の一部だということですね。趣味の世界は持つべきだけど、それに埋没しちゃいけない。週末に遊ぶ感覚でゲームもする、そういうのが理想ですね」

ここまで彼らのゲームマニアぶりを紹介してきたが、彼らが異口同音に語ることがひとつある。それは今のアーケードゲームシーンのことだ。

高橋君は言う。

「今のアーケードのゲームは、ナムコが『ポールポジション』を発表した'84年くらいが最盛期だったと思うんですよ。それからはゲームは難しくなる一方で、どんどんマニア向けになってしまった。『グラディウスIII』とか『R-TYPE II』 とか、ふつうの人じゃ2秒ともちませんよ。また、どんなにがんばってもそれ以上進める気もしないから、触りもしなくなっちゃいますよね」

「ぼくらみたいな、ゲームが好きでこの世界に入ってきた世代が、いまちょうど開発なんかをバリバリやっているところなんですよ。で、そういう人たちはみんなマニアだから、どうしても作るゲームはマニアっぽくなる。マニアがマニアのためにゲームを作ってるんです」(柴田英春)

アーケードゲームはほんのわずかな間に驚くほどの進歩をとげた。だがそれと同時に一般のゲーム人口を切り捨ててしまったかのようでもある。例えばかつて『スペースインベーダー』や『ギャラクシアン』をかなりやりこんだ経験のあるような人でも、今のゲームセンターのゲーム群にはほとんど太刀打ちできないだろう。

「日本のアーケードゲームの水準は世界一ですよ。筐体は最も高精細タイプのモニターを使っているし、PCBだって高価なチップを惜しげもなく使っています。国内で30万円するパソコンの心臓部である68000なんかもバンバン使ってる。それを20万円程度の価格で実現しちゃうんだから、日本のアーケードゲームメーカーはすごいですよ。開発側もその意味でかなり恵まれた環境にはあるわけだけど、こんなすごいことができるっていうのを技術が進んだだけやっちゃうと、どんどんゲームが難しくなってしまう」(中本氏)

いわゆるプロゲーマーと呼ばれる、一部の集団が問題とする声もある。

「彼らは情報なんか誰よりも早いから、ロケテストのゲームなんかさんざんやってクリアーしちゃうんだよね。で、ゲーム作るほうもロケテストでそのゲームの評価が決まるから、簡単にクリアーできないように難しくする。難しければそれだけ注ぎ込むコインも多くなるでしょ。メーカーのほうも意識してると思うよ」(『MSXマガジン』編集部 森岡憲一)

「ゲームを楽しむということはクリアーするということでしょう。だから一般の人がじゅうぶんできるような楽しめるゲームがでてきてほしい。ハードがよくなって絵も音もすごいけれど、絵は画像取り込みだし、音はサンプリングになっただけという気がする。本当におもしろいゲームはキャラクターは○でも□でもいいし、音なんてなくてもおもしろいんですよ。そういう本当におもしろいゲームに出てきてほしい」(柴田英春)

中本さんはいま、データイースト社内で家庭用ゲームの企画づくりに関わっている。

「いいゲームというのは良質の世界観を持つもの。ですからあるひとつの新機軸、例えばゲームシステムなどを全面に押し出すのは間違いじゃないかと思う。また、今はよくRPGとかシミュレーションとかジャンルにこだわるけど、ジャンルなんてものはあとからついてくるものなんですよね。これからのゲームは多ジャンル化がカギだと思います。それから女の子向けのゲームというのが、今一番求められていると思いますね」

果たして中本さんがどんなゲームを作るのか、興味は尽きない。

最後に柴田英春の言葉を記そう。それはすべてのゲームマニアに共通の思いだと感じるからだ。

「ゲームが好きだから、その行く末を見極めたいと思う。ちゃんと伸びていってほしいと思いますね。間違った方向に行かないでほしいと……」



COMMENT

Name
E-mail
URL
Comment
Pass  *
Secret? (管理者にだけ表示)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。