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対談 ピーター・モリニュー×遠藤雅伸×ジェフ・ブラウン×宮路洋一 前編 | '92年10月9日号・前編




[※2回に分けて紹介します]


■ゲームサミット '92 in Tokyo

日時:'92年8月28日
場所:新宿センチュリーハイアット
テーマ:各国のゲーム事情とゲームの未来
参加者:ジェフ・ブラウン(MAXIS) ピーター・モリニュー 遠藤雅伸 宮路洋一



ピーター・モリニュー イギリスでは、コンピューターが非常に早くから登場してきました。ハードウェアの歴史がおもしろいんで、それを話しましょう。'79年にシンクレアっていうマシンが最初に出てきました。性能はいまのポケット計算機のほうがまだパワフルですけどね(笑)。
宮路洋一 シンクレアでゲーム作ろうとしたことがあったんですよ、けっきょく何も作れなかったんですが(笑)。
モリニュー 当時、ホームコンピューターが世界でいちばん広まってたのはイギリスなんです。ビデオよりも普及率が高かったんです。それが、非常に多くのプログラマーを輩出した原因ですね。当時、イギリスという小さい国のなかで、何百という会社がゲームソフトを作り始めたんです。
宮路 シンクレアっていうのは、もともとイギリスの一企業が作ったもので、教育用のコンピューターとして指定されたんで、広まったんですよね。
モリニュー ええ、そうです。
宮路 日本やアメリカとは状況が違いますね。日本やアメリカでは、マニアから広まったわけですから。
モリニュー そのころは、いちばん小さい会社は、24時間に1個ゲームを作っていたんです(笑)。個人でやっているところでは1週間に50個作ったところもあります(笑)。原始的なゲームですが。でも、その人たちが成長して、いまもゲームを作り続けているわけです。私もそのひとりです(笑)。8年ぐらい前に『アンテクレナール』っていうビジネスのSLGを最初に作ったんですが、まだ流通経路がなかったんで、雑誌に広告を出して売っていました。家で何千個とコピーして。そのときは金持ちになれると思っていましたよ。
――で、いくつ売れたんですか?
モリニュー 2個です(笑)。
一同 (爆笑)
モリニュー それも1個はお母さんが買ってくれたみたいです(笑)。まあ、イギリスを含むヨーロッパの市場ができてきた背景には、そんなことがあるわけなんです。

――とても興味深い話ですね。では、つぎは日本のゲーム事情についてお願いします。
宮路 遠藤さん、どうぞ。ゲームセンターの歴史からいったほうがいいでしょう。
遠藤雅伸 日本では、ゲームはもともとはアーケードのものと、パソコンのものとふたつに分けられます。いまでは、アーケードとパソコンのあいだに、家庭用のマシンができていて、ゲームというと家庭用を指します。作り方に、アーケード的な方法と、パソコン的な方法があるんです。
モリニュー それはたいへん興味深いですね。
遠藤 で、結果的に日本では、アーケードとパソコンの要素が渾然一体になった、特殊なゲームが家庭用のものに見られるんです。『ドラクエ』もある意味ではそうです。
モリニュー それはおもしろいですね。ヨーロッパでは『ドラクエ』はさほど受けないようです。『ウルティマ』と『ウィザードリィ』はとても人気があるんですが、『ドラクエ』はヨーロッパ的なゲームじゃないんですね。
遠藤 それはよくわかります。『ドラクエ』の中には、日本的な浪花節が入っているんです。それが受ける理由だと思います。
モリニュー 『ドラクエ』はプレーしてませんが、『FF』はやりました。『FF』は非常にシンプルなゲームだと思います。ヨーロッパでは、RPGをやる人はだいたい18歳以上から、自分ぐらいまでの歳の人なんですが(笑)。『ドラクエ』をプレーする人はどのくらいの年齢ですか?
遠藤 言葉がわかる歳からやってますね。だいたい6、7歳くらいからでしょうか。
モリニュー えっ、6、7歳から!?
宮路 日本人なら誰でもやっています。
遠藤 あれは、RPGというより、RPG風に仕立てられたコンピューターの小説のようなものです。アドベンチャーに近いですね。
モリニュー 我々ヨーロッパ人が、『ドラクエ』のようなゲームを作るのは難しいですか?
宮路 その話はいろいろとあるんですけどね。けっきょく、日本でハリウッドの映画に対抗できる映画が作れるか、ということでしょう。たとえばハリウッドと同じ撮影技術を持っていても、日本ではハリウッド映画は作れない。なんでハリウッドが強いかっていうと、アメリカって言う国はいろんな人が集まっているので、誰にでもわかりやすく作ろうという土壌があるからだと思います。ところが、日本の監督は、日本人にしかわからない、日本人ならわかるっていう部分を映画にしようとするんです。そういう閉鎖的な感情、感覚のなかでドラマが作られていくんです、世界に受けるものを作るのが難しいんでしょうね。水戸黄門とかを作ればいいと思うんだけどね。
遠藤 チャンバラものとかね。
ブラウン サムライムービーズはカウボーイムービーズ(西部劇)と同じだということですね。
宮路 そうそう。映画人はそれをやらないで、芸術的とかいって、理解しづらいものを作ってきたでしょ。ゲーム業界も同じですよ。
遠藤 日本のゲーム業界は、技術的な方向か、儲かる方法のどっちかにいっちゃってる。
宮路 いまのゲーム業界も、世界に受けるものを作るのは難しいし、これからも難しいと思うんですよ。
モリニュー でも光栄という会社のゲームは海外で売れていますよ。
ブラウン アートディンクの『A列車で行こうIII』もアメリカでけっこう当たりました。
モリニュー 『スーパマリオワールド』も売れましたけれども、あれはシンプルなゲームですね。
遠藤 あれはアーケードの流れのゲームですからね。
宮路 アーケードゲームは世界に通用するけども、パソコンゲームは、日本で作っているものが世界に通用するかっていうとノーなんですよ。『テグザー』はそこそこ売れたけど(笑)。40万本くらいね。
ブラウン ずいぶん昔のゲームですね(笑)。パソコンでは『A列車で行こうIII』が最初ですね。ウチは『アトラス』でも、2匹目のどじょうを狙いたいんですが(笑)。
遠藤 ただ、あのふたつは家庭用としては、まだ日本では出ていないし、成功するかどうかはわからないですね。
ブラウン 『マリオ』などの日本の家庭用ゲームもアーケードゲームから世界に広がりました。日本のパソコンゲームも、アートディンクの作品とか、これから世界に出ていく最初の段階にいるんではないかと思います。


[※次のエントリーに続きます]

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